描き下ろしイラストができるまで~インド人(仮)を添えて~

暑いですね。毎年言ってるけど、暑い。


今年も生き抜きましょう。

さて、前回の記事で書きました『FOOD2024』掲載の新作イラストができるまでの日々を振り返りたいと思います。

今回は写真が多め。

後半に描き下ろしイラストを載せています。

お誘いのDMが来た

instagramのDMからイラスト掲載のお誘いがありまして、それをお受けする形で参加することにしました。

…正直に言うと、当初は普段の50倍くらいの警戒心を持っていました。

過去に色々ありまして。ええ。

なので、失礼ながら事前に調べさせてもらいまして…、大丈夫だろうと判断した上で申し込みました。

こういったお誘いの場合は大抵は掲載料がかかるみたいなんですが、こちらは比較的安価だと思います。

頂くご連絡も都度、丁寧で、安心感がありました。

中には本当に詐欺ってこともあるようですので、これからも用心せねば。
世知辛いなぁ…。んもう。


さてさて、提出する作品は「『食』というテーマに沿ってさえいれば、旧作だけでも掲載は可能」とのこと。
旧作だけまとめてもいいかなとも思いましたが、せっかく見開き2ページを申込んだし、せっかくだから新しく描き下ろしてみようと思い、描くことにしました。

まずはボンヤリとしたイメージを箇条書きで書き出して、

イメージはとりあえず書き出しとこ

さて資料がいるなぁ、という段階へ。

実家にあったホーロー鍋などレトロデザインの食器をメインモデルにしたかったんで、母に写真を送ってもらいました。

はい、かわいい

そういえば、ひいばあちゃんの家の台所用品は、こんな感じのデザインのものがたくさんありました。

当時としてはハイカラだったと思います。

レッツゴー昭和日常博物館

さて、制作に入ろうかというちょうどその頃。

友人から「久しぶりにどっかお出かけしましょう!行きたいところあります?」との連絡がありました。

行きたいところ…おもしろそうなところはあるかな~とGoogleマップで探していると、

ありました。その名も『昭和日常博物館』

ちょうどその時期に、そこで特別企画展『昭和レトロ食器図鑑』が行われているのを知り

(行かねばなるまい)

と、さっそく友人に連絡を返しました。


当日、友人と待ち合わせ、博物館に到着。

昭和レトロと言いますが、昭和ってけっこう長い。

現代の教科書にどう記載されているのか知りませんが、
もう江戸時代みたいに昭和を前期・中期・後期と分けたほうが良いのではなかろうか。

そんなことをフンワリ思いながら、いざ入館。

入口から、…良い!!!

これは良いぞ。

写真をバシバシ撮らせていただきました。

(※受付の方に、館内写真撮影とブログ掲載の許可を得て執筆しています。
ご承諾いただき、ありがとうございました。)

昭和!!

昭和独特の雰囲気を持つキャラクターマスコットたちが並ぶコーナーでは、友人と
「わぁー! これ、かわい…いや怖……かわいい? ……おもしろ!」
など、キャッキャしながら見学しました。楽しい。

「ハウスコーヒ」…語尾の『ー』は何処へ

フォントデザインも素敵です。

日本のカレーはこのあたりから始まったのか…。

レトルトカレーの展示ブースがあったことから、当時どれだけの勢いで日本にカレーが広まったのかわかる気がしました。

そして、そのブースから妙な視線を感じ、よく目を凝らしてみると

そこのあなた、目が合いましたね?

視線の主が判明。どちら様ですか。

たぶんインドの人、だと思います。

当時は、カレーと言えばインド、だった気がします。

確証がないので『インド人(仮)』と呼ぶことにしました。
記事タイトル回収、終了。

数あるレトルトカレーのパッケージデザインの中で、こちらのキンケイカレーさん(のインド人(仮))がとても気になりました。

すごく良い表情ですね。なんだろう…この清々しいまでのドヤり顔。素敵。

どういうわけかカレー関連の写真ばかり貼ってしまいましたが、
他にも、手回し洗濯機や冷蔵庫、お弁当箱やラジオなどなど、たくさんの素敵レトロな日用品の数々が展示されていました。


昭和には、それがどうか最後であってほしい戦争があり、当然、戦時中にも、そこに日用品はあったわけで。
当時の暮らしがどんなものだったかは、私にはボンヤリとしか想像する事はできませんが。
暮らしの楽しみが奪われる世界なんて、そんなとこに行きたくないなぁ、と思いました。


堪能した帰り際。

見学に来ていた小学生らしき子供たちが、展示ガラスの向こうのお鍋やカキ氷機にくぎ付けになっているのを見かけ、令和の小学生と昭和の暮らしが対面しているさまを見て

(エモい…!)

と、心の中で叫んだのでした。


余談ですが、入館する前にカレー屋さんに立ち寄り、初ビリヤニを食べました。
めちゃ辛かったけどおいしかった。


一緒に行ってくれたNさん、お付き合いありがとう!


常設展示も、とても見応えがあります。

レトロデザインが好きな方は、一度行ってみてはいかがでしょうか。


いよいよ本制作

さて、そうして博物館でエンジョイ…じゃなくて資料を集め、制作に入ります。

見開き2ページの片側1ページを旧作のコラージュ的な配置にしたいので、イメージをいくつか大ラフに描きます。

旧作のほうは、配置を楽しい感じにしたい

もう片方の1ページは新作を。
集めた資料からさらにイメージを膨らませ、もう一度大ラフを描きました。

今度は全体のメインカラーと、その色に合わせて配色もイメージしておきます。

静かに一人で台所に立つ、それが楽しい。
そんな気持ちを込めました。

全体的にお部屋に飾ってもいい感じのポスターみたいにしたかったので、テーマに沿ったメッセージを考えて英字を書き加えました。
綴り間違えてたらこっぱずかしい。たぶん合ってるはず。伝われ(念)。

『静』の色合いにしましたが、楽しさも出したいので、食器の並び方をランダムにして高低差を作っておきます。
どっしりしたメインのホーロー鍋に安定感がありますので、向かって右のおたまや木べら、菜箸で高さを加えました。

視線の流れを考慮して、左上の空間からホーロー鍋・長物の調理器具・ジェンガ状態の洗い物が入った洗いカゴ→メッセージ

…となだらかに見れるように配置します。

包丁を描き入れたら軽くホラーになったのでやめた

始めは、調理するのには欠かせない包丁も描こうとしていたんですが、
ラフの時点から妙な怖さを醸し出して浮きまくっていたので、やめました。
洗いカゴの後ろの方に隠れちゃってるっていう設定で行くことにします。

食の楽しさをテーマに描こうとしているところに、事件のにおいをさせてはならん。

とはいえ、こうした違和感は、効果的に使えば演出になり得ると考えていますので、そういうものを描く機会があれば、試してみたいと思います。

できたー

そうしてできた新作がこちら↓

とっ散らかった台所の不思議な安心感

上記画像はサイズ加工していますので、本誌掲載分とはまた若干ちがった雰囲気になっていると思います。

私は見開き2ページ分をいただき、この新作と過去作の組み合わせで掲載されています。

静かで楽しい台所の雰囲気に仕上げましたので、ぜひ本誌でご覧いただきたいなと思います。

見てくださった方に、楽しい食卓を感じていただけたら嬉しいです。

今日はこの辺で。ではまた。

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