年賀状を描くとき、忘れがちなので毎度とくに気をつけていることがあります。
それは
この年賀状を送る相手がいる
ということ、です。
妄想…想像力がモノをいう
私自身が年賀状を出すときに考えていることをお伝えしたいと思います。
たとえば、
「友達に出す年賀状はほぼ同級生だから、みんなマンガ好きだし、マンガ調にしよ。
んで干支の動物を、いちキャラクターとして立てちゃおう」
とか、
「英語の恩師に出すから、横書きのニューイヤーカードで、色を鮮やかで華やかにして…、
んで、Happy New Year の文字を飾る感じで、お花っぽいマークで囲んでみよう」
という感じで考えていきます。
メモ用紙に箇条書きで、イメージしたものを全部書き出します。
ぜんぶです、ぜーんぶ。
絵じゃなくて、ここでは言葉で、ドンドコ書き出していきます。
どうですか?
ひょっとしたら、誰かに依頼しなくても、
ご自身だけが知っている
『送りたいあの人とのエピソードやアイテム』
『干支の動物』
『賀詞』
が組み合わさって、それを自分で描いてみたくなってきてませんか?
早く描き出したい気持ちは、ものすごくわかります。
が、いきなり年賀状に描き始めるのだけは、やめましょう。
だいたい失敗します。
失敗したおじさんとの約束だ。
とくに慣れないうちは、偶然うまく描けた一発描きを信じちゃダメだぞ。
…それ、ただの偶然だからな!!
(経験者談)
完成度80%から描き始める方法
「こんな年賀状にしたい!」
「このモチーフ(イラストの具体的な内容)は、絶対入れる!」
なども、もちろん大事です。
が、しかし。
「わからんけど、とにかく、なんかこう…いい感じの年賀状にしたいんだ!」
ていうときも、あると思います。
私にはあります。…ものすごく多々あります。
そんなときには、冒頭の
年賀状を送る相手
を、とことん考えてみてください。
そして、考えたことをぜひ、メモ用紙に書き出していってみて下さい。
頭の中だけでぐるぐる考え続けるより、ずっと早く完成のイメージができてきます。
実際に手を動かして作品(制作物)を描く制作の時間って、かかる時間総合計の
およそ20%程度だと思うんです。
これは、たぶんイラストに限らず「作る」こと全体に言えることだと考えています。
残りのおよそ80%は、制作を進める日時や諸々の計画、決定、日常生活とのすり合わせ、連絡などなど…。
人間ですので、暮らしの100%を制作にぶっこむことはできません。
心身の健康状態を軸に、時間配分を考えるのが、結果的に効率がいいようです。
ソースは以前のわたくし。
自己管理ができず、夏休みの宿題を8月27日あたりから泣きながらやってる感じでした。
我ながら例えがドンピシャ。
まず、ちゃんと寝ようね。
新年のご挨拶だし、紙はハガキだし…イラスト描くのに緊張する!! でも…なんか描きたい!!
ていう気持ちは、どうしても出てきます。
前述した下準備や、送る人への気持ちを忘れさえしなければ、きっとすてきな年賀状を作れます。
80%の『考える時間』を、ぜひ楽しんで描いてみて下さい。
こぼれ話
以下は、お仕事で描く側の考えの一つ、として解釈していただければ幸いです。
お客様と、最終的にイラストが届くその相手の人を思う、のが大事なのですが、これ
決して「自分の個性や考えを殺して、お客さまの言いなりになれ」ってことではありませんからね!!
曲解・勘違いダメ、ゼッタイ。
「ご依頼内容と意見を盛り込みつつ、いかにその中へ描き手である自分の『好き!』『楽しい!』を詰め込めるかが、醍醐味。
スーツケースのパッキングみたいなもん。
必要なもの・好きなものをまずぎゅうぎゅうに入れてみて、あとから、そう好きでもないものを削って整えていくのです。
私の!私の絵を見ろ!!みたいになると、それはもうお客さま要らないです。
おそらく仕事にはなりません。
仕事にできる人も稀にいますが…そういう方々は神絵師って呼ばれててね…私なんぞ足元にも及ばんのじゃよ…ヨボヨボ…(憧れと羨望の眼差しと心地よい諦めの狭間)
ここら辺の塩梅はほんと、自己愛つよつよになってしまうと、お客さまどころか、友達や家族まで離れていってしまうので…要注意、です。
──自戒のこぼれ話、完──
今日はこの辺で。ではまた。
商業漫画誌読切掲載→無職→アルバイト→派遣社員→事務入力契約社員(約12年勤務)と個人向け年賀状イラストレーター兼業を経て、2024年に『食』のイラストレーターとして活動を開始。
兼業時代、方向性に迷うも、制作テーマを食べ物や調理器具に絞り公表し始めると、多方面からのお声掛けが急増。SNSでのインプレッションが過去90日間で800%を超える。
【穏やか×インパクト】
漫画とイラスト制作で培われた経験から描くデフォルメ調のかわいらしい絵柄・くっきりした線と色合いで、インパクトがあります。
派手過ぎない配色と構図を心掛け、見る人には、穏やかでどこか安心感のある印象を残します。
【疲れた人をちょっぴり癒す】
「好きだったはずの食べ物すらおいしく感じられない」「料理が好きだったのに台所に立つ元気もない」そんな私自身の体験を活かし、疲れた人に好きなものを思い出すきっかけを作ります。