私が漫画家を目指していた頃に、ほとんど学んでこなかったこと。
それは、デザイン。
正直なところ、未だにイラストとデザインの違いをうまく説明できないのですが、双方は切って切り離すことのできないものという理解をしています。
強いて言うなら、
- イラスト→文章や言葉で書かれたものを絵図で説明すること
- デザイン→イラストを使って商品に落とし込むために再構築すること
でしょうか。
間違ってたらすみません。あくまで私個人の解釈であることをご了承ください。
…私は今でこそイラストレーターを名乗らせてもらっていますが、イラストを描こうと意識し始めて大いに困ったことが、このデザイン知識と技術の不足でした。
デザインの力が必要だと感じたきっかけ
デザイン知識と技術の不足を自覚し、勉強する必要があると痛感したきっかけ、それは
私が神絵師ではないと気付いたからです。言わせんなバカ…っ!(←一人問答で悶えている)
いやはや、たいへんお恥ずかしいことに、心のどこかで
「いつか誰かが私の絵のすばらしさを理解してくれて買ってくれる。そんなときが来るに違いない」
と思い込んでいたんですね~。ほんっと恥ずかしいな…?
描いたものがとても魅力的で、「お金を出しても、この人が描いたこの絵を手に入れて部屋に飾りたい!」ていうファンがたくさんいる人こそが神絵師、と私は思っています。
(神絵師、ていう呼び名には少し抵抗感がありますが…わかりやすさを優先して、ここではそう書かせてもらいます)
で、それに気付いたころの私は、個人様からのご依頼で年賀状のイラストを描かせていただいていました。
今思えば、「年賀状デザイン」のご依頼でもあったわけです。
「自分の描いたイラストを、年賀状という商品にデザイン」して、納品していたのですから。
逆に言うと、「年賀状にデザインされていなかったら、商品にならない」というわけでして。
ここで私はやっと「自分のイラストは、デザインしなけりゃ商売にならんのだ」とホンノリ気が付きました。
しかし、デザインとは何ぞや? はて、どうしたものか。
そんなときにこそ、先人に学びましょう。
ってことで。
さて今回は、私が実際に使っているデザインに関する参考書のご紹介です。
『配色アイデア手帖』
漫画家を目指していた頃から、配色は苦手でした…。
何なら幼稚園児の時分から、お絵描きの時間に
「ずいぶんと渋い色が好きなのね」
と先生に言われるほど、濁った色ばかりを使っていた気がします。混色が好きだったのです。
渋い色が好きなんじゃなくて、私は混ぜるのが好きだったんです。
…って、うまく説明できない子供でごめんね先生。
とにかく絵の具の色を混ぜまくる。
鮮やかな色で描いてみたかったんですけどね~。絵の具混ぜ混ぜ欲のほうが勝っていました。
その後、色彩の知識を学ぶものの、自分の思った色にできず苦労しました。
イラストの全体を見ることが苦手で、部分部分に好きな色を置いてしまっていたのです。
最初に色設計を立てていなかったことが原因でした。
そして学んだ、デジタル着色の知識。
数値で色を表現できることを知って、一気に配色が楽しくなりました。
今でもほぼ毎回、色設計するときにお世話になっているのがこの本です。↓
ぱらぱらっとめくるだけでも、美しい色の本として楽しめます。
『知りたいレイアウトデザイン』
配色と同時に意識したのが、構図です。
一枚でバシッと人の目を引くには構図が重要と知り、こちらの本を読みました。
人に与える印象、一番に伝わる箇所、色の効果などなど、たくさんの作例とともに詳しい解説があり、とてもわかりやすい一冊です。
私が愛読しているのは最初のものですが、Second Editionとして新版も発行されているようです。
デザインを学ぶ入口の参考書におすすめしたい一冊です。
『入稿データのつくりかた』
以前の記事『印刷のススメ』でもご紹介しました、この一冊。必携です。
専門用語が多く、私のような初学者には少し難しく感じるかもしれません。
でもこれは、そばに置いてて損はないと思います。
デザインと印刷を同時に学んでいけます。
Adobe Illustratorの知識があると、より理解を深められると思います。
特にこれからイラストをお仕事にしたいと思っている方には、高確率で印刷の知識が必要になってきますんで、その時の備えとしてもおすすめです。
…私はこの本がなかったら、今以上に印刷所さんにお手間取らせてしまっていたと思います…(←なんかあった)。
自分に合った本を一冊持っとくと吉
3冊ご紹介しましたが、ご自分で探すのが一番です。
まず書店に行って、技術書コーナーの棚で「コレ!」とピンと来た一冊を選んで買って読んでみてください。
読みながら、試したい技術を実際に使ってみましょう。
パラパラっとめくって「この文章は読める、頭に入る」っていう本がいいと思います。
もっと突っ込んで言うなら、
- 「なぜこの本は読んで頭に入るんだろう?」
- 「文字の間隔がちょうどいいからかな?」
- 「色が抑えられてて、重要なとこや肝要な箇所が頭に残りやすいからかな?」
など、良いなーとか好きだな~と感じるデザインを見分ける力も、鍛えられると思います。
少し前に、人物デッサンやパースの参考書についての記事も書いています。↓
良かったら、こちらも読んでみてください。
今日はこの辺で。ではまた。