当たり前の毎日が尊い:映画感想『PERFECT DAYS』

映画『PERFECT DAYS』を観てきました。

節約のため、しばらくは映画を劇場で観るのを控えていたんですけど、どうもこの作品は気になり、劇場へと足を運ぶことにしました。

…いやぁ、やはり劇場での映画は、なんか、違います。


そんなわけで、今回は映画『PERFECT DAYS』の感想を書きます。

サクッとしたあらすじ

公衆トイレの清掃員、平山。

彼が過ごす一週間ほどの毎日を淡々と観察するような、そんな映画です。


以上、あらすじ。


…ブログを書いている私の語彙力が少なすぎ問題。

感想

それはともかく映画の感想です。


作品自体は、これと言って大きな変化のあるストーリーではありません。

全体的にセリフも少なく、ほぼ何の説明もありません。


ただ、登場人物一人ひとりと、主人公・平山と関わる彼らを徐々に深掘りしていく物語の流れが、私にとってはたまらなく魅力的に感じました。

平山の、日々のルーチン、所作、人との関わり方から、寡黙ではあるけれど豊かな教養を持つ人物とわかります。

映画は、彼の一日の始まりからスタートします。
平山は小さな古い二階家のアパート暮らしなのですが、狭い階段の踊り場を中心として
2階をプライベート、1階の仕事場へ向かう玄関先までの画面の色の変化が美しいです。

主要登場人物のほかに、映像上では(おそらく、はっきりとは)出ていないけれど、平山がある紙切れを通してひっそりとコミュニケーションを取る人物がいて、その人物にも、とても好感を持ちました。
個人的に作中でいちばん好きなエピソードかも。


私は俳優さんに明るい方ではないんですが、キャスティングもとても素晴らしいなと思いました。

主人公・平山を演じる役所広司さんはもちろん、平山の後輩にあたるタカシ役の柄本時生さんが、とてもいい感じにチャランポラn…いや、憎めない青年を演じておられました。
初見では(あんま関わりたくねぇなこいつ)と思ってしまうような軽~い青年なのですが、………。

詳細を書くとネタバレになるかもしれないのでやめときます。

ほか、タカシの彼女、ホームレス、銭湯の常連客などなど、どの人もひとつの属性にはまっていない雰囲気で、それぞれの生活の交点にいさせてくれるような感覚になりました。

ホームレス役の田中泯さんの存在感がすごかった。
ぜひ、作品をご覧になってください。

状況=とっておきのスパイス

平山の毎日を通して、いくつか食事も登場します。

その中でも特に、おいしそうだな~と感じた食事がこちら。

コンビニごはんていう、ごちそう

コンビニのパック牛乳(500ml)と、サンドイッチ。

平山がこのお昼ごはんを食べるのは、彼の憩いの場所であり、時間でもあるように思います。

背景の色を選ぶとき、この場所をヒントに配色しました。


サンドイッチのコンビニごはんともうひとつ、カップラーメンとどちらを描こうか迷いました。

カップラーメンの場合は、背景色は暗めの青系にしていたかも。
どちらの食事シーンも、平山という人物がよくわかるところだなぁと思いました。

映画をご覧になった方は、ニヤッとして下さると嬉しいです。


物語の後半、平山の家族や過去に触れるエピソードがちらりと、魅せてくれます。

心の奥底にぼんやりと溶けきれない澱を残しながらも、守りたい生活を守るために静かに暮らしていこうとする、そんな姿がとても響きました。

変わらない毎日を改めて大切にしたくなる、そんな作品でした。


久しぶりに劇場へ観に行けて、よかったです。

今日はこの辺で。ではまた。




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