描き直しが終わらない~アンドゥ地獄を脱出~

「よーし! 描きたいものもハッキリしたし、ラフの線も引けたし、下描きを描いていくぞ!!」

と、勢い込んで下描きに取り掛かり…

「あれ…なんかバランス悪いな?」

「こっちの線は引けたけど、今度はあっちのパース(遠近法)が曲がってて変」

「…もう一回初めから描こうかな…いやそもそも描きたいものがこれじゃなかったのでh」

待ったらんかい

はい。まず、ちょっと机から離れて落ち着こっか。

トイレは大丈夫? 

とにかく、握りしめてるペンを置いて、温かい飲み物をゆっくり飲んで。


今回は、描き直しが終わらないループから脱出する方法をお伝えします。


長いこと、ループであることにも気付けなかった昔の私へ。

あのね、描き直しても納得いかない線が引けないからって、描くのを途中でやめちゃうのはよくないぞ。

「納得のいく線を引けない」っていうのが今の実力、と受け入れて、とにかく最後まで描いてみようぜ。

描くときの流れをセルフチェック

前回の記事の「未完病」の亜種のような状態がありまして。

それが「アンドゥ地獄」です。

地獄にハマる主な原因は、「迷い」です。


私のお絵描きフロー(イラスト制作の流れ)をご紹介しますと、だいたいこんな感じ。

一例としてご参考になさってください。
※以下では、お仕事以外の個人制作での流れを書いています。

  1. テーマ(描くもの)を決める
  2. 資料集めその1(動画でも本でもなんでも使って、とにかく調べたいところを調べまくる)↓
  3. 大まかなラフ(下描きの下描き。描くイラストの要素をどこに配置するかの構図も、ここでザクっと決めておく。他の人が見てもわからない程度でOK)↓
  4. 資料集めその2(その1で、足りなかった知識や疑問(解決しなくて良し!納得できればそれでOK)などは、ここでとことん深堀り)↓
  5. 下描き
  6. カラーラフ(下塗り。ザックリ配色する)
  7. 清書(本制作。5.下描きが紙に鉛筆などのアナログであれば、スキャンと線画抽出等の作業が間に入ります)
  8. 確認
  9. 完成!!


…なのですが、

デジタルイラストツールには、たいてい

アンドゥ

という機能があります。

デジタルお絵描きツールを扱っている方はご存じだと思います。

(Ctrl + Z) = 『やり直し』キー

これを入力すると、ひとつ前の動作に戻り『やり直す』ことができます。

制作が進むにつれて、チェックするところが増えていくんですけども。
フローで戻るのは1つ前までにしましょう!!!
(例:4.資料集めその2 から 3.大まかなラフ へ戻る)

納得いかなくても、線がズレてても、ぐっとこらえて。

次のフローへ進むんだ…!!

6.カラーラフまで終わった時点で
「この色より、こっちのほうがいいかも…」
「これ、背景に空とか描いた方が良くない…?」

などの迷いが理由でやり直し始めると、
セルフアンドゥ地獄に陥り、未完病が重症レベルで再発します!

病気どころじゃない、地獄です。

少し話が変わりますが、これのお仕事ver.が「リテイク地獄」です。

最初の契約の段階で「修正は〇回まで」などをしっかり決めておかないと、すんごくつらい目に遭うとかなんとか。

まあ、これはまた別の機会に。

永遠に終わらない

賽の河原ってあの、アレです、昔話に出てくる、えーと。

「ひとつ積んでは父のため~♪ ふたつ積んでは母のため~♪」っていう…。

…説明は下記で。引用させていただきます。

Wikipediaさん、いつもありがとうございます。

三途川の河原は「賽の河原」(さいのかわら) と呼ばれる。賽の河原は、に先立って死亡した子供がその親不孝の報いで苦を受ける場とされる。そのような子供たちが賽の河原で、親の供養のために積石塚(cairn ケルン・ケアン)または石積みのを完成させると、供養になる。しかし完成する前にが来て塔を破壊し、再度や再々度塔を築いてもその繰り返しになってしまうと言う。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%89%E9%80%94%E5%B7%9D

アンドゥ地獄を脱出する方法

地獄にハマってしまった作品は、…悲しいですが中断して、新しく描き始めましょう。

で、あらためて描き始めるときにおすすめなのが、

『●月●日に友達に見せる』
(「やっぱやーめた!」を回避するために、見せる日時を決めて、できるだけそれをあらかじめ友達に伝えておくのがオススメ)

SNSにUPすることにハードル高く感じたら、身近で信用できる人にまず見せてみましょう!

人に見せるのもちょっとなーという方は、
『今までにやったことのない方法で描いてみる』
のも、おすすめです。

例えば、画材を変える。


水彩画などアナログ画材での制作は「やり直しがきかない」ことがデメリットと思われる方もいらっしゃると思いますが、

「計画的に描かないと絶対失敗する!」
という心地よい緊張感や、

「おっ! ここにいい滲みができた! これ使おう!」
みたいなライブ感が身に付くと思います。

未完病にかかってしまっている方や、お絵描きを始めてまだ日が浅い方、デジタルでしか描いたことがないという方は、

ぜひとも、アナログ画材でも描いてみてください。

水彩絵の具、クーピー、クレヨン、色鉛筆。なんでもOKですので。

地獄からは脱出できますし、あなたの知らなかった新たなお絵描き魂が、覚醒してしまうかもしれませんよ…!

イラストを完成させることが、描き切れなかった絵たちへの何よりの供養になると思います。




今日はこの辺で。ではまた。

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