タクシー運転手さんの知恵袋

こんばんは。金曜日は【あっちゃこっちゃトリップ】、旅をテーマにお送りしております。

今回は、とあるタクシー運転手さんから聞いたお話をひとつ。


少し遠出の旅行などの帰りには、タクシーをよく利用します。


数年前、恩師と船旅に出かけた帰り、予約していたタクシーがなかなかやって来ず、次々と他の方たちがタクシーに乗って帰っていくのを見送っていました。

「…来ないわねぇ」
「どうしたんでしょうね?」

と恩師と二人でボンヤリと立っていると、ようやく私たちの順番が回ってきた様子で、タクシーが止まりました。

すると、乗っていた船の係の方が、ぱたぱたとやって来て

「すみません…! 本来、お客さまのあとからタクシーに乗られるはずの方たちが2人、お客さまがご予約されていたタクシーに先に乗って行ってしまったみたいで…」

「あらま」
「ありゃ」

ということで、別のタクシーに乗って帰ることになったのでした。

運転手さんは「いやぁ、お疲れでしょうに、タイミング悪ぅございましたな」と気さくに話しかけてくれ、私たちも「こんなこともあるんですねぇ」と、ほっと一安心。

見るからにベテランの男性運転手さんでした。


私はタクシー運転手さんや美容師さんなどのお店の方とお話するのは、以前は大の苦手

(頼む!! 話しかけないでくれっ…!!)
てな感じで、ものすごく落ち着かない、気まず~い時間を過ごすだけだったんですが…。
どういうわけか、現在はかなり好きになりました。劇的ビフォーアフター。


お話していると、自分の知らないことをばんばん聞けるので、面白いのです。
相手は接客のプロですし。


さて、この運転手さん、以前は他県で長距離の大型トラックで物流の仕事をされていたのだそう。

ご自身の年齢など諸事情もあり、さてこれからの仕事をどうしようかと考えていたところ、ご友人からの紹介でタクシー運転手をすることになった…とのことでした。

超ド級の方向音痴の私として、めちゃくちゃ気になる質問をしてみました。


「あのぅ…新しい場所で働くときって、どうやって道を覚えるんですか?」

すると運転手さん、心なしか、ちょっと嬉しそうに話し始めて下さいました。

「まずは先輩に聞いたりしますわな、で、お客さんを乗せていないときに運転してますとね…ほら、街路樹とか植え込みがあるでしょう」「個人のお宅の植木とかも」
「はぁ」

確かに、気にしてよく見れば、そこかしこに植物があります。

大きな交差点の信号で丁寧に止まると、運転手さんは道路の左右をヒョイヒョイと指して、

「そのね、進んでる道路の左右…要するに、木の茂り方で東西南北を見るんです」

……な る ほ ど……!!!!!!

目からウロコがボンボロリン。

高レベルの方向音痴は動くものを目印にしてしまいがち(私です)

「陽の当たるところは、木は良く育つでしょ。なので、こう、信号待ちのときなんかに地図広げて、いま走っとるところを確かめながらね。覚えていきます。
私どもの頃は、今みたいな、こうね、カーナビのない時代ですから」


はぁぁ…なるほどなるほど…。
知恵と工夫だなぁ…と頷きすぎて、ちょっとしたヘドバンもしくは水飲み鳥状態。

そしてバックミラー越しに、私たちにニコリとした視線を送り、
「こういうことはね、お客さんたちが『聞いてくださる人だ』と思うから話すんですよ」

と、今度は目が潤むような一言をいただきました。


プロの秘密のコツをお聞きできて、もんのすごく嬉しかったです。


「あぁ、ここのお庭、きれいにお手入れされてるなぁ…」と、木々を眺めながらの散歩。
…からの迷子。(←Googleマップを見てても迷う時がある)
このパターンから抜け出す、大きなヒントを得られた出来事でした。


今日はこの辺で。ではまた。



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