見たい景色は自転車で:読書感想『田園発 港行き自転車』

♪ば~いすぃこ~ ば~いすぃこ~♪

…映画[ボヘミアン・ラプソディ]を見そびれています。

湿気と高温がひどい時期ですね。皆さま生きていますか?
私は通勤時に半分溶けています。

すみません、今日は映画の話ではありません。
変なフェイントかけてしまった。

宮本輝著『田園発 港行き自転車』

【~うとうと読み読み~】、水曜日は本についてのエトセトラ。
自転車つながり、ということで。

今回は読書感想、宮本輝著[田園発 港行き自転車]です。


舞台は東京・富山・京都。
3つの都市にまたがって展開されます。

登場人物たちの方言や言葉遣いが、描き出されていく人間関係にも繋がっていきます。

情景描写も美しく、写真を見るように読めました。
表題の通り、自転車での長距離移動のシーンが描かれています。
自転車に乗りながら展開される登場人物たちの会話や情景の変遷から、その移動距離をつかめる気さえしてきます。
特に、富山の田園風景は爽やかで、どこか懐かしさを感じました。

富山には行ったことないですけども。
なんかこう、懐かしいです。


登場人物が複数出てきますが、読み進めるごとにやさしく、非常に丁寧に掘り下げられていきますので、全然こんがらがりません。
むしろ、次第に感情移入して読み手の私が「内情を知っている近所のおじちゃん/おばちゃん」になってしまい、

「なにぃ!? ○○が△△にそんなことを言っていただとぅ!?
よし、おじちゃんがひとこと言ってきてやる!」

…などとおせっかいを焼きたくなってきます。できんけど。


それからおばちゃんね、とある登場人物の、この言葉にグッときたよ。

「だから、どうだというのだ。」


「それがどうしたというのだ。」

この2つの言葉を発したのは同一人物です。
静かで力強い、何者にも屈しない愛情のこもった一言です。

どの人物の言葉なのか、どんなシーンで発せられた言葉なのか。
是非、最後までお読みになってご確認下さい。
締めくくりも、しばらくじっとしていたい、そんな余韻を感じられる作品です。



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熱中症にはお気を付けて。

今日はこの辺で。ではまた。

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